健康、プロスポーツ、防災…Dot to Dotが生み出す、価値創出のシーンとは


“競争”ではなく“共創”へ。

果たしてパーソナルデータ流通基盤というプラットフォームは、実際の社会でどのように価値を生み出すのでしょうか。

ここでは、実際に運用が開始されている柏の葉スマートシティの実例などをもとに、Dot to Dotの可能性をお伝えしていきます。


山本 史朗

BIPROGY株式会社
戦略事業推進第二本部
事業推進第二部
企業共創プロジェクト1G

1991年に大学を卒業後、日本ユニシス株式会社(現BIPROGY株式会社)に入社。Java黎明期よりアプリケーションアーキテクトとして、日本ユニシスの開発標準「MIDMOST for Java EE Maia」「MIDMOST for .NET Maris」の開発、適用、教育に従事。金融、流通、公共系の大規模システム開発案件に参画。現在は、データ流通による共創ビジネスを創出すべくパーソナルデータ流通プラットフォーム「Dot to Dot」を企画・開発してスマートシティ案件にて実証中。

健康な暮らしをサポート。Dot to Dot利活用の現場

実際にDot to Dotが運用されている事例があると聞いたのですが。

山本

はい。千葉県柏市・柏の葉スマートシティでDot to Dotは、運用を開始しています。

柏の葉スマートシティではモビリティ、エネルギー、パブリックスペース、ウェルネスという4つのテーマを掲げてまちづくりを推進しています。Dot to Dotは、このようなまちづくりに貢献するようなサービス創出に貢献したいと考えて、さまざまな取り組みを行っているところです。

どのような取り組みがあるのでしょうか?

山本

まず住民の方がポータルサイトに会員登録することで、本来有料で提供される健康管理アプリや医療相談アプリなど健康にまつわるさまざまなサービスを無料で利用できるようになるサービスを展開しています。 また、そのポータルサイトを起点にして、利用者の同意を得ながら事業者間でパーソナルデータを連携させることによって、新たなビジネス価値を創出させることも大きな狙いのひとつです。

新たなビジネス価値の創出について具体的に教えていただいてもいいですか?

山本

たとえば、健康管理アプリのデータをポータルサイトと連携させて、利用状況に応じて会員ポイントを付与していく取り組みがあります。住民がサービスを利用し続けるモチベーションにつなげるほか、そのことによってデータを蓄積させ、新たなサービス創出につなげることが狙いです。

山本

そのほか、健康管理アプリに登録された個人の健診データを、データ分析を得意とするサービス事業者と連携させることで将来の疾病罹患リスクを算出、利用者に提供する取り組みも行っています。

利用者にとっては、健康リスクに気づけたり、質の高いアドバイスを得られますし、健康アプリを提供している事業者にとっては、利用者数の増加やエンゲージメント向上につなげることも期待できます。データ分析事業者にとっては、データ件数が増えることで分析精度を向上させられるほか、事業チャネルの拡大にもつながります。

みんなが得をするんですね。

山本

その通り。パーソナルデータを連携させることによって、顧客を取り合うのではなく、お互いのビジネスを成長させ、生活者の便利な暮らしに貢献するWin-Winの関係を築くことができるんです。だからこそ、私たちは、“競争”ではなく“共創”という言葉を意識して使っています。

「柏の葉スマートシティ」内でDot to Dotが果たしている役割

具体的に、柏の葉スマートシティではどのような仕組みでDot to Dotが運用されているのでしょうか?

山本

こちらが柏の葉スマートシティで展開しているデータプラットフォームの全体像です。

山本

住民との接点には、ポータルサイトを配置。認証基盤によって認証・認可されることによって住民はサービスを利用することができるようになります。

また、この住民向けポータルサイトには、キャンペーンやモニター募集、アンケートやポイント制度などの機能もあります。 また、健康管理アプリや医療相談アプリなどの提携サービス、データを集約・分析するためのパーソナルデータ管理基盤、柏の葉エリアに設置されたカメラや各種センサーなどの情報を中継・管理するIoT基盤なども配置されています。

そのような全体像の中でDot to Dotは、どのような役割を担っているのでしょうか?

佐藤

データ連携ハブとなり、このプラットフォーム内外の事業者間で行われるデータ取引を支えています。データやサービスが自由かつ効率的に連携できるような役割を担っているんです。

プロスポーツに防災…Dot to Dotの活躍が期待されるシーンとは

実際のまちづくりでDot to Dotが活躍しているんですね。ちなみに、今後どのような応用の可能性があるのでしょうか?

山本

ひとつは、地域のプロスポーツチームが取り組む社会課題解決サービスです。

プロスポーツチームが社会課題解決……?

佐藤

地域のプロスポーツは、人々を惹きつけるコンテンツとして大きな可能性を秘めています。そのコンテンツに集うファンと事業者でつくられるコミュニティを軸にすれば、地域経済の活性化や健康増進など社会的課題を解決するサービスを生み出して行けるはずです。

具体的にどのような取り組みになるのでしょうか?

山本

たとえば、ファンのコミュニティポータルサイトをつくり、そこに移動データアプリや健康管理アプリ、小売・飲食店向け電子クーポンなどの連携サービスをスポンサーというかたちで連携させていきます。そして連携サービスを利用すれば会員ポイントなどのインセンティブを獲得できるようにします。

すると、どんないいことがあるんですか?

山本

ファンにとっては、会員ポイントを利用して何かサービスを体験したり、電子クーポンで地域の小売り・飲食店のサービスを安く利用できるようになります。

スポンサーにとっては、露出機会や顧客接点の獲得につながります。また、単に露出する機会が増えただけではなくて、「社会課題の解決」という文脈のサービスにスポンサードすることで、SDGsやESG投資など社会貢献企業としての評価が高まることも期待できるでしょう。

プロスポーツチームにとっては、試合時以外にも顧客との接点を拡げることができますから、今までにないマネタイズ機会が生まれたり、スポンサーシップの価値向上にもつながると考えられますね。

プロスポーツのかたちが変わりそうですね。ほかにも今、考えている応用事例はあるのでしょうか?

山本

はい。そのひとつのテーマが防災です。

日本は災害大国で予測できないことが毎年発生しています。「有事」の際に事業者や行政から適切なサービスを受けられるようにするために、「平時」から自身のパーソナルデータを提供しておく必要があります。いざという時ではなく普段の生活の中で、Dot to Dotによって、そのような世界が実現できればと考えているところです。

たしかに、日本国内において防災は重要なトピックですよね。具体的にDot to Dotはどのように価値を発揮できるのでしょうか?

山本

たとえば、防災アプリを開発し、住民にパーソナルデータを登録してもらったとします。でもいざという時にその情報が古かったら役に立ちませんよね。だから、「平時」から介護・医療や交通、宿泊など普段使いするサービス提供事業者とDot to Dotでつなげておくんです。そうすることで、「有事」の際に年齢や基礎疾患、要介護など自身の属性に合わせた避難手段や支援物資を享受しやすくなります。

起きてから対策するよりも、起きる前から対策しておくことが大切なんですね。

山本

はい、住民が提携サービスを利用した場合は、防災アプリにもその情報は即座に連携されます。そうすれば、行政が被災状況や避難所の状況を把握することも簡便になるでしょう。

Dot to Dotは、さまざまなシチュエーションで応用することが可能なサービスです。今後も事例を増やして行ければと考えています。

住民の健康な生活をサポートする、地域のプロスポーツチームの社会貢献を後押しする、防災力を高める……Dot to Dotの活用によって、ビジネスや暮らしのシーンはよりよい方向に変わっていくのかもしれません。

その背景にある思想は、“競争”よりも“共創”していく社会の実現。

相互扶助によってなりたつ世界を、ひとつずつかたちにしていく。そんなDot to Dotの取り組みにご期待ください。

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