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パーソナルデータとは?個人情報との関係や活用方法、価値創出の方法を解説

パーソナルデータとは?個人情報との関係や活用方法、価値創出の方法を解説

2026.10.23

スマートフォンとノートパソコンを操作する手と、鍵付きの盾を中心にした個人情報保護のアイコン

近年、さまざまなビジネス分野でビッグデータ活用の重要性が高まっています。その中で頻繁に耳にする言葉が「パーソナルデータ」です。本記事では、パーソナルデータの定義や個人情報との違い、活用する際の注意点、具体的なビジネス活用事例、そして国内の現状と今後の展望について解説します。


目次


パーソナルデータとは

パーソナルデータと個人情報・個人データの関係を示す図。パーソナルデータは、個人情報に加え、個人情報との境界が曖昧なものを含む、個人と関係性が見出される広範囲の情報を指す(参考:総務省「平成29年版 情報通信白書」)。個人情報は、生存する個人に関する情報であって、氏名・生年月日その他の記述等により特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号が含まれるもの(個人情報保護法 第2条第1項)。個人データは「個人情報データベース等」を構成する個人情報(同法 第16条第3項)。

「パーソナルデータ」は法令上明確に定義された用語ではありませんが、一般的には個人に関連するデータ全般を指す言葉として使われています。
個人情報保護法では、その内容や利用形態に応じて「個人情報」「個人データ」「個人関連情報」「仮名加工情報」「匿名加工情報」がそれぞれ定義されており、情報の性質や取扱いに応じて 異なるルールが適用されます。

項目個人情報パーソナルデータ
基本的な定義氏名や生年月日など、単体または他の情報と容易に照合することで、特定の個人を識別できるもの、および個人識別符号が含まれるもの個人の属性情報や移動・購買履歴など、個人に関するあらゆるデータを包括する広い概念
識別可能性特定の個人を識別できる個人情報に加え、単体では個人を識別できない個人に関する行動履歴や属性情報なども含む
具体例氏名、生年月日、住所、顔写真、パスポート番号 など個人情報に加え、Cookie等の端末識別子を通じて収集された閲覧履歴、位置情報、購買履歴、サービス利用履歴など、個人に関する幅広いデータ
※Cookie等の端末識別子、位置情報、閲覧履歴なども、他の情報との組み合わせや利用状況によっては「個人情報」に該当する場合があります。

パーソナルデータと個人情報の違い

個人情報保護法における「個人情報」は、次のように定義されています。

「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は個人識別符号が含まれるもの」(個人情報保護法第2条第1項)

このうち、「個人情報を含む情報の集合物であって、特定の個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」等(個人情報保護法第16条第1項)は「個人情報データベース等」と呼ばれ、この個人情報データベース等を構成する個人情報を「個人データ」といいます(同条第3項)。また、事業者が開示・訂正・利用停止等を行う権限を有する個人データは「保有個人データ」と呼ばれます(同条第4項)。

さらに、病歴や信条など、本人に対する不当な差別や偏見が生じないよう特に配慮を要する情報は「要配慮個人情報」として、取得時に原則本人の同意が必要になるなど、より厳格な規律が課されます(同法第2条第3項、第20条2項 )。

一方、Cookie等の端末識別子を通じた閲覧履歴や、位置情報、商品購買履歴など、個人に関する情報であっても「個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」は「個人関連情報」と定義されています(同法第2条第7項)。これらの情報は、単体では特定の個人を識別できない限り個人情報には該当しませんが、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別できる状態になった場合は、個人情報に該当します。

パーソナルデータは、個人情報に該当するかどうかにかかわらず、個人に関するあらゆるデータが含まれます。

参考:個人情報保護委員会 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
参考:個人情報保護委員会FAQ「Cookie等の端末識別子は個人関連情報に該当しますか。」


ビッグデータの関係

パーソナルデータは、ビッグデータを構成する要素の一つとして位置付けられます。

総務省の整理*によると、ビッグデータには、公的機関が提供するオープンデータや、企業の知見やノウハウをデジタル化・構造化したデータ、IoT機器やセンサー等から発生するM2Mデータ、そして個人の属性情報や移動・購買履歴などを含むパーソナルデータなど、さまざまな種類のデータが含まれます。

つまり、ビッグデータという広域なデータ群のなかでも、特に「個人」に紐づく行動や属性に関するデータがパーソナルデータと位置づけられます。

*総務省 平成29年版情報通信白書(PDF版)2章1節 p.53下部https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/pdf/n2100000.pdf

パーソナルデータを扱う企業の責任

重ね合わせた手と、そのまわりに広がるデータのアイコン

パーソナルデータの利活用は、企業のサービス向上や新たな価値創出をもたらす一方、情報漏洩リスクやプライバシー侵害への懸念を常に内包しています。今日、企業に求められるのは、個人情報保護法をはじめとする法令の遵守(コンプライアンス)にとどまりません。法が明文化していないグレー領域に対しても、倫理的・社会的な観点から適切な取り扱いを自主的に模索する姿勢、すなわちELSI(Ethical, Legal and Social Issues:倫理的・法的・社会的課題)への配慮が不可欠となっています。

法令遵守だけではない――ELSIとプライバシーへの配慮

ELSIとは、新しい技術やデータ活用が社会に広がる際に生じる、倫理的(Ethical)・法的(Legal)・社会的(Social)な課題を総称する考え方です。法令の遵守(コンプライアンス)にとど まらず、「生活者にとって受け入れられる取り扱いか」「社会的な納得感が得られるか」といった倫理的・社会的な観点から適切な取り扱いを自主的に模索する姿勢 を持つことが、パーソナルデータを扱う企業には求められます。

例えば、検索履歴や位置情報などを過度に活用したターゲティング広告は、法的に適正であっても、ユーザーに「監視されている」という不信感を招くおそれがあります。こうした不安の背景には、「誰が」「何の目的で」「どこまで」データを利用するのかが見えにくいことがあります。

そのため企業は、利用目的や取得情報を明確に示すだけでなく、同意内容を後から確認・変更できるようにするなど、透明性の高い運用を行うことが重要です。また、問い合わせ窓口や運用ルールを整備し、安心してデータを預けられる環境を構築することも求められます。

参考:大阪大学社会技術共創センター ELSIとは

エコシステムを駆動させる「委託」と「第三者提供」の規律

自社が取得したパーソナルデータは、自社内での利用(クローズド)から、他社との連携や経済圏の拡大(エコシステム)へと発展していきます。このとき、データの提供先や利用目的、取り扱いの実態などを踏まえ、個人情報保護法上の「委託」と「第三者提供」を厳格に使い分ける必要があります。

• 業務委託(垂直型の機能補完スキーム)

自社の利用目的の達成に必要な範囲内で、データ処理の一部を他社に任せるケースです。委託先は原則として「第三者」に該当しないため本人の同意は不要ですが、委託元には委託先に対する「必要かつ適切な監督義務」が生じます。情報漏洩を防ぐ厳格な管理体制と定期的な監査が、エコシステムの足腰となります。

• 第三者提供(水平型の価値共創スキーム)

他社が自らの目的のために個人データを利用する場合など、第三者提供に該当するケースでは、法令上の例外等を除き、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があります。

企業間でパーソナルデータを流通させ、健全なエコシステムを形成するには、 単にデータを連携できるだけでなく、本人同意、利用目的の明示、流通履歴の管理、参加事業者の統制といったガバナンスを備えた仕組みが不可欠です。記録を残す意義は、手続きを形式的に完了させることだけではありません。誰の同意に基づいて、どの事業者がどのような目的でデータを利用したのかを後から確認できるようにし、透明性や説明責任を担保することにあります。また、データ提供先や利用履歴を追跡できるトレーサビリティを確保することで、監査や問い合わせへの対応も可能になります。エコシステム全体の信頼崩壊(連鎖的リスク)を最小限に食い止めるための「防衛線」としても、記録を残すことは重要です。

また、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合には、個人情報保護法第26条に基づき、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要になります。そのため、平時の安全管理だけでなく、漏えい等が発生した際の対応体制をあらかじめ整備しておくことも重要です。

個人情報の「保護」と「利活用」を両立する

「個人情報保護」と聞くと、データの利用を制限するための法律だと捉えられがちですが、個人情報保護法は個人情報の利用を一律に抑制するものではありません。同法は、個人の権利利益を保護することを目的としつつ、適正なデータ活用が新たな産業の創出や活力ある経済社会の実現に資するように、「有用性」にも配慮した制度設計になっています。

実際に、匿名加工情報・仮名加工情報の制度や、本人同意を原則とした第三者提供の仕組みは、いずれもデータを「守りながら活かす」ための枠組みとして整備されたものです。

これからの企業に求められているのは、パーソナルデータの活用を躊躇することではありません。適切な取得・利用のプロセスを踏み、ELSIの視点を持って生活者の信頼を獲得しながら、外部パートナーと共にエコシステム全体の価値を広げていくことなのです。

DXにおけるパーソナルデータの重要性・可能性

「DX Digital Transformation」の文字と、光のネットワークに包まれた地球のイメージ

現代の日本社会においてDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の課題の一つとなっているのが、プライバシーや個人情報保護にまつわる懸念です。

個人の位置情報や購買履歴などのパーソナルデータは適切に活用できれば一人ひとりのニーズに寄り添った利便性の高いサービスを生み出す強力な資源になりますが、その取り扱いには慎重さが求められるというジレンマが存在します。

しかし単なる「ビジネスの効率化」を超えて、企業と生活者の関係性を根本から変革する新たな経済モデルや社会思想の到来によって、パーソナルデータの重要性はかつてないほどに高まっています。こうした変化を捉えるうえで注目したいのが、「インテンションエコノミー」と「生活者主体のデータ活用」という2つの考え方です。

生活者の意思を起点とする「インテンションエコノミー」

従来のマーケティングは企業が生活者の関心を引き、商品やサービスを提示する「アテンションエコノミー」の考え方が中心でした。

これに対して「インテンションエコノミー」は、生活者の「こうしたい」「この条件のサービスが欲しい」という意思を起点に、企業がそれに応える商品やサービスを提供する経済のあり方です。

生活者の意思を適切なパーソナルデータとして企業間で連携できれば、企業は不特定多数へ一方的に訴求するのではなく、明確なニーズに対して価値を提案できます。企業規模にかかわらず生活者の期待に応えられる事業者が参加しやすくなり、競争だけでなく企業間の共創も生まれやすくなります。

この「生活者側の意思(意図)」を正確に捉え、企業が的確な価値を提供する仕組みを支える基盤として、パーソナルデータの安全な流通が不可欠となっているといえるでしょう。

詳しくは下記をご参照ください。

生活者主体のデータ活用――本人関与とコントローラビリティ

インテンションエコノミーを健全に機能させるうえでは、企業側の都合だけでデータを活用するのではなく、生活者が自身に関するデータの利用に適切に関与できることが重要です。

これからのデータ社会においては、中央集権的に一部の企業がデータを独占して主導権を握るのではなく、データの一番の主役である生活者自身に、データへのアクセスや利用・共有・削除の判断に関わる主導権を戻すべきであるという考え方が、国内外で広がっています。

パーソナルデータ活用の主役は、データを保有する企業ではなく生活者です。どのような目的で利用・提供されるのかを生活者が理解し、必要に応じて意思を反映できる環境を整えることが重要です。

このように、本人が自身に関するデータの利用に適切に関与できる状態は、「本人関与」や「コントローラビリティ」という観点からも重要とされています。企業には利用目的や連携項目を分かりやすく示し、同意や撤回の選択肢を確保する誠実な姿勢が求められます。生活者が自身に関するデータの利用状況を理解し、サービス設計上も可能な範囲で意思を反映できる環境を整えることが重要です。

こうした透明性のある対話を積み重ねて生活者との信頼関係を築くことが、継続的なデータ活用と新たな価値創出の前提になります。

パーソナルデータを積極的に活用するために

ノートパソコンでデータ連携のフロー図を操作する人物

ここまで見てきた「本人関与」「コントローラビリティ」という考え方を、実際にどのような仕組みで実現できるのでしょうか。本章では、生活者主体のデータ流通を支える仕組みと、当社「Dot to Dot」の活用事例をご紹介します。

日本でパーソナルデータ活用が広がりにくい理由

パーソナルデータ活用が広がりにくい背景には、技術以外の問題があります。主な課題は、次の3点に整理できます。

まず、本人が何に同意したかを把握しにくいことです。利用規約やプライバシーポリシーが長く、利用目的、連携項目、提供先を生活者が具体的に把握しにくい場合があります。

次に、利用をやめたいときの手続きが分かりにくいことです。一度同意した後に同意状況の確認、撤回、連携停止をどこで行うのか分からないと、生活者はデータ活用に参加しにくくなります。

そして、法制度・ルールへの対応負担が大きいことです。個人情報保護法による保護は不可欠ですが、複数企業でデータを連携する際はデータ区分、利用目的、第三者提供、記録、安全管理などを整理する必要があります。法令解釈や社内手続きが必要となるため、事業者側の負担となることがあります。

生活者主体のデータ流通を実現する仕組み

生活者が自身のデータの利用に関与しながら、企業間でパーソナルデータを活用するための仕組みには、いくつかのアプローチが提案されています。個人がデータへのアクセスや利用・共有・削除を主体的に管理できるようにするという考え方は、プライバシー保護とデータ活用の両立を目指すものとして、国内外で広がりを見せています。

日本では、個人のデータを本人の意思に基づいて活用する仕組みとして、「情報銀行」が注目された時期がありました。情報銀行は、事業者が個人からデータの預託を受け、本人の同意のもとで第三者へ提供し、そこから得た便益を個人に還元するというサービスモデルです。

「Dot to Dot(D2D)」は、こうした生活者主体のデータ流通を、情報銀行とは異なるアプローチで実現するための基盤です。情報銀行が事業者にデータを預ける形をとるのに対し、Dot to Dotはデータを一か所に集約するのではなく、必要な時に、必要なデータを、必要な人へ安全に流通させる分散型の仕組みを採用しています。本人の同意に基づいてサービス間でデータを連携し、提供・受領に関する記録を残すことで、誰から誰へ、どのようなデータが提供されたかを後から確認できるトレーサビリティを確保しています。個人情報保護法で必要となる第三者提供時の確認・同意取得や記録作成にも対応した仕組みです。

いずれのアプローチも目指すところは共通しており、データをどこに、どのように置くかという実現方法の違いとして捉えることができます。

データは、集約すること自体が目的ではありません。「どう活かすか」という目的が不明確な場合、管理やセキュリティのコストだけが増大する傾向にあります。データを収集すること以上に、「具体的に何がしたいのか」「どのようなことを実現したいのか」を明確にしたうえで、必要なデータを適切に流通させることが重要です。

Dot to Dotは、生活者が安心して自らのデータをコントロールし、企業がそれを原動力に新たな価値を共創していくエコシステムの構築を目指しています。

Dot to Dotの活用事例

ここでは、当社のパーソナルデータ流通基盤Dot to Dotを活用した事例をご紹介します。

健診データを活用したパーソナライズドヘルスケア

健診結果などのパーソナルデータを活用し、一人ひとりに最適化された健康アドバイスを提供する事例があります。紙の健診結果をデジタル化して複数サービス間で活用できれば、受診後の継続的な健康管理にもつなげられます。

このようなサービスは、当社のパーソナルデータ流通基盤Dot to Dotを活用し、本人の同意に基づいてPHRを安全に連携することで実現した事例です。

参考:関連プレスリリース:パーソナルヘルスレコード(PHR)を活用して、 個人ごとに最適化された健康アドバイスを提供 ~2025 大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンにも出展。 日々の生活改善を支援し、健康寿命を延伸~

位置情報データを活用した交通分散・渋滞緩和施策

位置情報などのパーソナルデータを活用したGPSスタンプラリーを実施し、公共交通機関の利用促進や時間帯分散を図ることで、渋滞緩和や行動変容につなげる事例があります。

生活者の選択を尊重しながら行動変容を促すことで、交通手段や通行時間を分散し、渋滞緩和や快適なまちづくりにつなげます。

このようなサービスも、当社のDot to Dotを介して、本人が同意した行動データを必要なサービス間で連携することにより実現した事例です。

参考:関連プレスリリース:「都市OS」で神戸市内の渋滞解消へ スマートライフパス×Dot to Dotで行動変容を促す 公共交通シフトと通行分散の取り組みを実施

まとめ

「まとめ」の手書き文字とメモのイラスト

パーソナルデータは、一般的な「個人情報」以上に広い概念であり、適切に活用することで、新しいサービスの創出や社会の課題解決につながる可能性を秘めています。

一方で、パーソナルデータを扱う企業には、法令を遵守するだけでなく、ELSIの視点から生活者にとって受け入れられる取り扱いを模索する姿勢が求められます。個人情報保護法は個人情報の利用を一律に抑制するものではなく、保護と利活用の両立を前提とした制度です。委託と第三者提供を正しく整理し、本人同意に基づく第三者提供の仕組みを適切に運用することで、企業はプライバシーに配慮しながらパーソナルデータの価値を引き出すことができます。

今後は、生活者が自らの意思でデータの利用に関与できる「本人関与」「コントローラビリティ」を軸に、Dot to Dotのような仕組みを通じて、利用者・事業者双方が安心して参加できるデータ流通のあり方がますます求められるでしょう。

確かな安全性のもとで自由なデータ流通を実現する、当社の「Dot to Dot」の取り組みにぜひご注目ください。

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